主語と述語、修飾語と被修飾語のように、異なる語句が意味の上でつながっている関係を「係り受け」と言います。この組み合わせを間違えると、文の中でねじれが起き、意味が通らなくなってしまいます。ときには読み手の気力を奪うことにもなりかねません。
ここではねじれを防ぎ、最後まで気持ちよく読んでもらえる文章を書くためのコツをご紹介します。「係り受け」の中でも、すぐに役立てられる注意点に絞っているので、ぜひ最後までお読みください。
目次
主語と述語の係り受け
「私達のモットーは、お客様にくつろげる空間を提供したいです」。この文を読んだとき、言いたいことは分かるものの、なにか違和感があるのではないでしょうか?。それは、主語と述語の「係り受け」が間違っていて、文がねじれてしまっていることが原因です。
では、「私達のモットーは、お客様にくつろげる空間を提供したいです」は、具体的に何が問題なのでしょうか。それを解説するとともに、こうした「ねじれ」を防ぐポイントもご紹介します。
主語と述語を取り出してつなげてみる
係り受けの間違いを発見するためには、主語と述語を明確にすることが必要です。まずは文末にあるので見つけやすい、「述語」から探してみましょう。文末にあるのは、「提供したいです」という言葉。次に主語を探すと、「モットーは」が見つかります。これらをつなげると、「モットーは 提供したいです」となり、日本語としておかしいことが分かります。
このままでは主語と述語がねじれているので、直さなければなりません。その場合、
(1)述語を主語に合わせて変える
(2)主語を述語に合わせて変える
といういずれかの方法で、正しい係り受けに直すことになります。具体的には、以下のようになるでしょう。
(1)私達のモットーは、お客様にくつろげる空間を提供することです。
(2)私達は、お客様にくつろげる空間を提供することをモットーにしています。
では、それぞれ係り受けが正しく直っているか、主語と述語を取り出してチェックしてみましょう。
(1)「モットーは 提供することです」
(2)「私達は (モットーに)しています」
となり、ねじれが解消されていることが分かります。
長すぎる文は短い文に分ける
自分はこんな間違いはしないだろう、と思われるかもしれません。しかし短い文では起きなくても、文が長く複雑になると、係り受けの間違いは意外に起こりやすい問題です。たとえば、以下のような文を見てください。
「私達のモットーは、地元の食材をたくさん用いたシェフの創作料理や、それに合う世界各国のお酒を楽しんでいただくだけではなく、スタッフの細やかな気配りによって、お客様がくつろげる空間を提供したいです。」
このように長い文の場合、最後の述語を書くころには、主語が何だったかぼんやりしてしまい、係り受けを間違えやすくなります。ねじれを起こさないための最も簡単な対策は、ひとつの文を長くしすぎないことです。例えば、以下のようにふたつの文に分けてみましょう。
「私達は、地元の食材をたくさん用いたシェフの創作料理や、それに合う世界各国のお酒をお客様に楽しんでいただきたいと思っています。またそれだけではなく、スタッフの細やかな気配りによって「お客様がくつろげる空間を提供すること」をモットーにしています。」
ほかにも注意すべき係り受け
読みやすい文章を書くため、ほかにも気をつけてほしい「係り受け」のポイントをご紹介します。
修飾語と被修飾語は離さない
修飾語と被修飾語(修飾される語)を離してしまうと、「係り受け」が難しくなり、読み手に誤解を与えやすくなります。たとえば以下のような表現を見てください。
「きれいな新宿のオフィスビル」
「オフィスビル」と、それを修飾する「きれいな」が離れているので、一見、「きれいな」がどこに掛かるのかが分かりません。「きれいな新宿」と言っているようにも見えるでしょう。この場合、「新宿のきれいなオフィスビル」として、被修飾語の直前に修飾語を置くことで、誤解を避けることができます。
長い修飾語は先に置く
ひとつの語句にふたつの修飾語が係る場合、文字数の多い方の修飾語が後ろにあると、その前の修飾語と被修飾語の間が空き、誤解を生みやすくなります。例を挙げます。
「先進的な子供から大人まで負担の少ない治療」
ここでは「治療」に対して、ふたつの修飾語、「先進的な」と「子供から大人まで負担の少ない」が掛かっています。しかし実際には「先進的な子供」とつながって見え、違和感がでる原因になります。これは、間に長い修飾語が入ることで「先進的な」と「治療」の距離が離れたことが原因です。
読点を使って、「先進的な、子供から大人まで負担の少ない治療」とすることもできますが、長い方の修飾語である「子供から大人まで負担の少ない」を前に出して、「子供から大人まで負担の少ない先進的な治療」にしたほうが、よりすっきりとして分かりやすい表現になります。
異なる文は、関係性に合った言葉でつなぐ
ここまでは、ひとつの文の中での係り受けについて考えましたが、異なる文をつなぐときも、関係性に合った言葉を使わないと、ねじれが生じてしまいます。例を挙げて考えてみましょう。
(例文1)A市は住宅地の開発が進み、近年人口が増えている。それでも、新しいリサイクルシステムを導入し、積極的にごみ問題に取り組んでいる。
1文目と2文目は、対立する内容ではありませんが、逆接の意味を示す「それでも」で文がつながれているため、読んだときに違和感が出ます。次のように直すとよいでしょう。
(例文2)A市は住宅地の開発が進み、近年人口が増えている。そのため、新しいリサイクルシステムを導入し、積極的にごみ問題に取り組んでいる。
順接の「そのため」を用いることで、先ほどまでのねじれが解消されました。
しかし、(1)の文の後半が少し変わるだけで、逆接の「それでも」を使うことが適切になります。
(例文3)A市は住宅地の開発が進み、近年人口が増えている。それでも、新しいリサイクルシステムを導入し、積極的にごみ問題に取り組んでいるので、ごみ処理に関して大きな問題は発生していない。
まとめ
文章を最後まで気持ちよく読んでもらうため、「係り受け」は、正しく使うことが求められます。間違わないために気をつけるべき点は多々ありますが、今回ご紹介した点を守るだけだけでも、十分な効果があるはずです。以下にポイントをまとめますので、あらためて覚えるようにしてください。
・主語と述語をつなげて検証する
・長すぎる文は短い文に分ける
・修飾語と被修飾語は離さない
・長い修飾語は先に置く
・異なる文は関係性を考えてつなぐ
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