YouTubeなどの動画共有サービスについて詳しくない場合、動画マーケティングを始めようと思っても「ハードルが高い」と感じるかもしれません。まずは動画マーケティングがどのような手法なのか、概要を確認しておきましょう。動画を作るための具体的な手順も解説しています。
動画・YouTubeマーケティングとは
動画・YouTubeマーケティングとは、主にインターネット上で動画を配信するマーケティング手法です。その定義と、基本的な方法について確認しておきましょう。
具体的な3つの手法
動画・YouTubeマーケティングには、主に以下の3種類の方法があります。
- チャンネルの開設
- 動画広告の配信
- インフルエンサーとのコラボ
「チャンネルの開設」とは、YouTubeなどで企業の公式アカウントを作成し、そこで動画を配信することです。単なる商品の紹介動画だけでなく、コンテンツとして楽しめる動画や、情報として価値のある動画などを配信することで、多くの人に視聴されることを狙います。
「動画広告の配信」は、有料のCM動画を配信することです。配信先はYouTubeなどの動画アプリとは限らず、Webサイトやゲームアプリなども広告の出稿先として選択できます。
「インフルエンサーとのコラボ」は、ユーチューバーなど人気のあるユーザーに協力してもらう手法です。ユーチューバーに商品を無料で提供してレビュー動画を投稿してもらったり、視聴者のコメントにそれぞれ回答しながら配信するなどの方法があります。
YouTubeだけじゃない!動画の配信方法
YouTube以外にも、動画を投稿できるSNSを利用することで、多くの人にシェアされることを狙えます。主なSNSは以下の3つです。
- Instagram(インスタグラム)
- Twitter(ツイッター)
- Facebook(フェイスブック)
「Instagram」は写真を共有するイメージが強いSNSですが、最長60秒の短い動画を投稿できます。
「Twitter」はテキスト中心の投稿が多いSNSですが、写真や短い動画を一緒に投稿可能です。動画の最長時間は140秒。
「Facebook」は最長で240分という長時間の動画も投稿できるのが特徴です。ただしデータ容量は最大10GB以内にする必要があります。
また自社の「公式Webサイト」で動画を公開することで、Webサイトへの流入を増やし、商品やサービスの詳しい説明や使い方を伝えることができます。
さらに「動画広告」として出稿する場合には、上記のSNSをはじめWebサイトやスマホアプリなどにも配信可能です。商品やサービスに適した配信先を選びましょう。
動画・YouTubeマーケティングのメリット
動画・YouTubeマーケティングを導入することには、どのようなメリットがあるのでしょうか。3つのポイントに分けて詳しく解説します。
テキストコンテンツに興味のないユーザーを獲得できる
動画・YouTubeマーケティングの大きなメリットは、Web記事など「テキスト中心」のコンテンツに興味を示さないユーザーを獲得できることです。
現代では、インターネットの利用時間のほとんどを「動画視聴」に使用していて、テキスト中心のコンテンツに興味を示さない人が多くいます。十代の若者だけではなく、企業の責任者レベルの年代でさえ例外ではありません。動画コンテンツを導入することで、新しいユーザー層へのアプローチができるのがメリットです。
テーマによっては、文章で説明するよりも動画の方が分かりやすく、簡潔に伝えられます。
SNSで拡散されやすい
動画はSNSで拡散されやすいという特徴もあります。
SNSは世代を問わず多くのユーザーが使用していて、マーケティングにも不可欠な存在です。多くの企業が公式アカウントを開設し、マーケティングツールとして活用しています。
SNSでは、テキストや静止画像だけでなく動画を一緒に投稿することも可能です。「いいね」や「シェア」などの機能を使って、簡単に友人たちと動画コンテンツを共有できるため、2次拡散が期待できます。
動画は、SNSマーケティングを導入する上でも重要なコンテンツです。
SEO効果が期待できる
YouTubeで動画コンテンツを公開することは、SEO(検索エンジン最適化)としての意味があることでも知られています。
Googleなどの検索エンジンでキーワードを入力すると、従来はWebページなどのテキスト中心のコンテンツだけが、主な検索結果として表示されました。
今ではWebページだけでなく、YouTube上の動画なども、主な検索結果として「一緒に」表示されるようになったため、ユーザーの目に留まる機会が増えています。
検索エンジンで動画を上位に表示させるには、「タイトル」「説明文」「タグ」などのテキスト情報を適切に設定することが重要です。現在Googleの検索エンジンは動画の内容までは正確に認識できません。どのような内容の動画なのかをテキスト情報で説明することで、検索結果に表示されやすくなります。
事例で確認!動画・YouTubeマーケティングの手法
動画・YouTubeマーケティングのお手本ともいえる具体的な事例を2つ紹介します。
商品を使用した動画を配信「GoPro」
カメラブランドのGoPro(ゴープロ)は、自社の製品で撮影された美しい映像をYouTube上で公開しています。
製品の性能だけでなく、どのような使い方で楽しめるのかを分かりやすく表現している動画です。純粋に動画として「楽しめる」コンテンツでもあります。
GoProでは、より多くの魅力的な映像を集めるために、GoProで撮影した動画の投稿をするようユーザーに呼びかけ、「優秀な動画に賞金を贈呈する」というキャンペーンを開催。
ユーザーの力を借りることで効率的に動画マーケティングを導入している優れた事例です。
BtoBでも有効活用「Google Japan」
Google Japanは、自社のBtoBサービスである Google広告(旧Google AdWords)を宣伝するために「Google広告 公式」というYouTubeチャンネルを開設しています。
Google広告を導入した事業者のインタビュー動画をYouTubeで配信。広告やコンサルを導入することで、どのような変化があったのかを、実際の事業者のリアルな話として紹介しています。
YouTubeを使ったマーケティングはBtoBでも十分に有効であることを示す事例です。
動画・YouTubeマーケティングの始め方・ポイント
動画・YouTubeマーケティングを始めるにあたって、まずは「動画をどこに掲載するか」を決めましょう。前述のとおり配信先によって投稿できる動画の「最長時間」が異なり、ターゲットや視聴層、視聴されやすい内容も異なります。
掲載先が決まったら、動画の内容を具体的に決めていきましょう。内容を決める上で参考になるポイントを解説します。
CAMS(キャムズ)のフレームワークを参考にする
動画の構成の基本であるCAMS(キャムズ)というフレームワークを知っていますか。
CAMSとは、Catch(つかみ)Appeal(アピール)Motivate(動機付け)Suggest(提案)の頭文字を取った言葉。この順番で動画の内容を構成することで、視聴者に分かりやすく、訴求力のあるものにしやすくなるというフレームワークです。
まず冒頭の「Catch」の部分で、視聴者の心をつかみ、動画が「自分に関係がある」「最後まで観た方がよい」と感じさせます。
次に「Appeal」として、視聴者に役立つ情報など、伝えたいメッセージの本題へ。
そして「Motivate」では商品の購入などの行動を起こしてもらうために、不安や疑問などを取り除く情報を提示します。
最後に「Suggest」の部分で、行動を促すようなメッセージを提案。電話番号を表示して資料請求を促したり、商品名でネット検索するように促したりなど、行動を起こしやすいように後押しして締めくくるという構成です。
フレームワークを元に、動画内容を具体化します。そして、社内スタッフで作成するか、外注するのかを判断しましょう。外注先としては、大手制作会社・中小制作会社・個人クリエイターなどの選択肢があります。
KPIを決め、効果測定をしっかり行う
動画を公開して終了ではなく、目標となる「KPI」を設定し、効果測定をすることも重要です。
KPIとは、売上などの最終目標へ到達するために必要な、中間地点となる指標のこと。動画マーケティングにおいては「再生回数」や「goodの数」、Webサイトへのリンクが「クリックされた回数」などをKPIに設定するとよいでしょう。
もしKPIを達成できていないならば対策を講じるなど、動画の効果測定をしっかり行いましょう。
まとめ
SNSが普及し、ネットでの動画視聴が当たり前となった現在、動画・YouTubeマーケティングの重要性が高まっています。
Webメディアの運営や、SNSマーケティングなど他の施策とも併用しながら、自社に合った動画マーケティングを効率的に導入していきましょう。