ホワイトペーパーとは、リードと呼ばれる潜在顧客の個人情報を収集することを目的として、通常無料で配布される参考資料のことです。業界分析やノウハウなど、製品の紹介や導入事例のような自社紹介以外の情報も盛り込むことで、興味関心を持つ幅広い層に見てもらうことを目的として作成されます。近年IT系企業、特にSaaSを運営している企業でよくマーケティングの手法として採用されています。
コンテンツマーケティングを実施すると、すぐに買いたいという層だけではなく、将来的に買うかもしれないがまだ購買意欲はそれほどない層もあわせて集まります。いまはニーズがはっきりしていない層の人たちだったとしても、せっかく自社のページを見てもらえているわけですから、継続してコミュニケーションを取れるようにしたほうが良いです。そのきっかけとしてホワイトペーパーを作ります。ホワイトペーパーを無料でダウンロードする代わりに、メールアドレス、電話番号、社名、部署、名前などを登録してもらうのです。もし何も情報を得られずにページを離脱されてしまった場合、その人との接点は二度とないかもしれません。
リードを集める以外にも以下のようなメリットがあります。
- お客様に送付して今取引がない商品を知ってもらう
- 営業のときに見てもらうことで成約確度を高める
- リードに送付することで、自社との関係性を深める
- ノウハウをドキュメント化することで、暗黙知を形式知に変える
- 教育用資料として活用できる。ホワイトペーパーを従業員全員が理解することで、知識の底上げができる
- 業界の中で先んじて定説となるデータを提示することで、被リンク、UGC/サイテーションが増え、結果として知名度が上がり、指名検索回数が増えて売上が上がる
ホワイトペーパーの作り方
次にリードを増やすためのホワイトペーパーの作り方や事例を紹介します。
目的を考える
まず、ホワイトペーパーの目的を考えます。ダウンロードしてもらったあとに何を買ってもらいたいのか、読んでもらうことで何を知ってもらい、どう変化してもらいたいのかなどです。
目的が明確にならないと、どのようなホワイトペーパーを作るかが決められません。
誰に、何を、どのように伝えるのかを決める
どんな課題を持っているどのような属性の人たちを対象に、何を伝えるのかを決めます。その後、どのような見せ方で伝えるか、どういうチャネルを使って伝えるかを決めます。
まずあなたの商品を購入している人たちがなぜ買っているのかを知りましょう。何らかの課題を解決するために買っていて、その課題は1種類だけとは限りません。2種類以上なら、それぞれに向けたホワイトペーパーを作るか、どれか1つの課題だけに絞って1つだけ作るかを選びます。
買っている人たちの年齢、性別、家族構成、職業、役職、企業規模、年収などの属性をまとめてペルソナというものを作成することがありますが、ペルソナよりもどんな課題を解決するために買われているのかが大切です。同じ商品でも、人によって買う理由はまったく違います。
たとえば、このサイトを運営しているサイトエンジンでは「コンテンツ制作を代行するサービス」を提供していますが、導入しようという理由は以下のようにさまざまです。
- 手が足りていないから外注を活用して制作のペースを上げたい、いままでよりも安定させたい
- 記事の品質が現状満足できていないので、ほかのライターを探したい
- 更新し続けているが、アクセスもコンバージョンも増えていかないので方法を見直したい
- 今までよりも安い方法を探したい
- いま依頼している会社のレスポンスが遅いので、ほかの会社を探している
ペルソナは上記のような課題と組み合わせてはじめて意味をなします。同じような属性の人がすべて同じ課題を持っているわけではないためです。同じ課題を持っている人でも、属性には大きなばらつきがあります。つまり伝えるべきことは課題を前提にしたもので、ペルソナありきではないです。
課題を決めたら、その解決を支援するための情報をホワイトペーパーのテーマにします。
どう伝えるかはコンテンツ方向性と伝えるチャネルです。同じテーマでも、ノウハウを説明する方法もあれば、事例やケーススタディをまとめた資料にすることもあります。チャネルはSEO、Twitter、Instagram、Facebookなどさまざまなものから、顧客層が読んでいそうなメディアを選びます。筆者はInstagramをBtoBのホワイトペーパーのダウンロードには向いていない媒体と思いこんでいた時期がありましたが、実際に試してデータを見たところ使えることがわかりました。
構成を決めて材料を集める
ホワイトペーパーのテーマを決めたら、次は構成を決めます。以下は項目例(テンプレート)です。参考までに活用してください。
ノウハウ系の資料の構成例
- 表紙
- 読むと何を得られるのか
- 目次
- どんな状況にある人向けに書いたものなのか、課題・悩みの提示
- 課題や悩みを深堀り、放置することによる問題と、解決後の変化をイメージできるようになる説明
- 解決方法の提示
- 解決方法を補強するデータ、事例
- ホワイトペーパーに関連した商品紹介
- オファー
- 連絡先
- 会社概要
商品は最後に少し触れる程度にして、役に立つ情報を中心に構成します。オファーとは何かは以下のページの「強いオファーを作るための6つのテクニック」を参照してください。
コンバージョン率(CVR)を上げる62の方法 フォーム誘導率と完了率を改善
調査レポートの構成例
- 表紙
- 目次
- 調査の背景
- 結論
- 結論を裏付ける各種データ
- 結論から導き出される行動
- ホワイトペーパーに関連した商品紹介
- オファー
- 連絡先
- 会社概要
ノウハウ系の場合は、自社が過去に蓄積してきたデータや経験から材料を集めることができますが、調査系の場合は別途調査が必要になります。予算に応じてアンケートなど市場調査の方法を選びます。
覚えておいてもらいたいのは、すべて新しく調査して、ゼロから原稿を書く必要はないということです。過去に自社で実施した調査や、社内で作成済みの資料などを使い回して編集する方法でもホワイトペーパーは作れます。また、材料を集める方法として、社内の人からヒアリングするのも有効です。
ノウハウ、調査レポート以外には、商品・サービスカタログ、導入事例集、チェックリスト、書式・デザインテンプレート、初心者向けガイドなどがあります。
執筆とデザイン
読みやすく、わかりやすいものにします。テキストだけがずっと並んでいるようだと、読み続けてもらいにくくなるため、以下のようなものを途中で入れるようにします。
- 写真
- イラスト
- データ
- 図表
すぐに視覚的に情報を確認でき、興味を引く内容が含まれていることを詳しく読まなくてもわかるようにするのが読み進めてもらうために必要です。わかりやすくするためには、これらの工夫ができます。
- 見出しを適切に入れる
- 専門用語を使わない
- 太字、下線、フォントサイズ変更、文字色変更など文字の装飾をする
- 箇条書きを使う
- 部分的に背景色を変えたり、枠で囲ったりして区別をする
ホワイトペーパー制作を外注する費用相場は?
ページ数と内容、作業範囲によって大きく価格は異なりますが、企画、構成、調査、執筆、校正校閲、デザインなど制作のすべてを代行してもらう場合、30~200万円程度です。調査する範囲によっては、さらに金額が多くなることもあるでしょう。
企画や構成案が成功を左右するため、その部分で費用を抑えると失敗します。自ら時間をかけて構成案作成までやりきるか、きちんと読み手を意識した企画構成ができる会社もしくは人に依頼しましょう。
完成後の活用方法
完成したあとは以下のように活用します。
- ホワイトペーパーを告知するためのLPを作成して主要なページから導線をつくる。ファーストビューにホワイトペーパーの概要と申し込み用フォームが1つになったもの
- ブログやコラムの記事など読み物ページの下部にホワイトペーパーダウンロードのCTAもしくはフォームを入れる
- メルマガで案内
- リードのうち興味関心を持ってくれそうなセグメントに送付
- 営業からお客様に送付
- 社内で講習会を開き、お客様と話すときの引き出しの1つにする
- TwitterやFacebookなどSNSアカウントで告知する。告知するときはLPのURLを貼らず、画像とテキストだけで説明して、興味を持ってくれた人にLPのURLを送付、もしくは手動で送る方法にする。URLを含めた投稿はアルゴリズムで露出が減るため
- 資料ダウンロードする人を代わりに集めてくれるサイトに掲載する。メディアレーダー、とれわか、マーケメディアなど(成果報酬型で有料)
- Facebook広告、Instagram広告などでダウンロードを増やす(フォームを直接SNS側で表示させる設定がおすすめ)
ホワイトペーパーの作成事例
このサイトを運営しているサイトエンジン株式会社でも自社のリード獲得のために、コンテンツマーケティングに関連したホワイトペーパーを作成しています。以下で無料でダウンロードできますので、ホワイトペーパーの1つの例として参考までにご覧ください。
かくたまお役立ち資料TOP
ホワイトペーパー以外のリード獲得方法を以下で紹介しています。あわせて参考にしてください。
リード獲得のための手法 広告やツールをまとめて解説
かくたまを運営しているサイトエンジン株式会社では、ホワイトペーパーの作成を外注されたい方向けのサービスを提供しています。
ホワイトペーパー制作