この記事で学べることと対象読者
SEOとは何か、小手先のテクニックではなく長期で使えるSEOの考え方などを学べます。検索エンジンの仕組みやどうやって上位表示させるサイトを決めているのかなどを、SEOを知らない人でもわかるようになるべく簡単に書いています。
以下で、動画でも「実務で役立つSEO学習シリーズ」の「その1」として「SEO」の基礎となる考え方などをまとめていますので、あわあせて参考にしてください。
SEOとは?Googleなど検索エンジンはどう考えているか
SEOとは、Search Engine Optimizationの略称で、Google・Yahoo!・Bingなどの検索エンジンとユーザーの両方に好まれるWebサイトにすることで、検索エンジンからの流入を増やす施策のことです。検索エンジン最適化ともいいます。狙ったキーワードでの順位を上げる、すべてのコンテンツをきちんとGoogleに認識してもらい、より多くのキーワードで検索結果に表示されるようにするなどの目的で実施します。
どんなによい情報をWebサイトに用意していても、見つけてもらえなけえればビジネスに繋がりません。それを解決するための手段としてSEOはすべてのWebサイトに必要です。(あえて見る人を減らしたい、集客したくないサイトは除きます)
優れたコンテンツを用意することは大前提としてあり、それを検索エンジンに正しく評価してもらい、情報を必要としている人たちに届けるためにSEOがあります。キーワード(検索する時の単語たち)ごとの検索意図(ニーズ)を正しく理解することが大切です。
あなたのお客様がどのようなキーワードで検索しているかを推測して上位表示させておくことで、能動的に調べ物をしている、つまり興味関心を持っている購入に繋がりやすい人たちを集客できます。
メディアやソーシャルメディアなどに掲載されている広告などはなんとなくクリックしてみるといった使い方をされていることが多く、SEOでの流入ほど興味関心の度合いは高くありません。
検索エンジンの仕組みを理解する
SEOを正しく理解するには、検索エンジンの仕組みやビジネスモデルを理解することが大切です。
誰もが知っているGoogleですが、検索エンジンとしてのスタートは遅く18番目とかなり後発のサービスでした。しかし、リンクを評価基準に入れるなど独自のサイト評価基準を取り入れることで高い精度を実現することに成功しました。その後もユーザーの利便性を高めるためにさまざまな機能の追加をしたり、アルゴリズムを改善し続けました。質の高さが評判を呼び、ユーザーを増やして検索エンジンとして確固たる地位を築き上げたのです。
Googleは被リンク(他のサイトからのリンク)を考慮してサイトのランク付けをしていますが、実は論文の評価方法を参考にこのような評価方法が考案されました。論文の世界では他の論文に引用される数が多い論文は価値がある論文とされています。引用されることが多いということはそれだけその分野の研究にとって価値が高いと言えるからです。
Googleは同じことがWebサイトにも当てはまるのではないかと考え、「多くの人がリンクを貼って参照している=そのページに重要な情報がある」と考えてリンクが多いサイトを評価するようにしたのです。
しかし、その仕組みを悪用し、情報がほとんどないサイトや自ら作成したサイトから大量のリンクを貼ることでGoogleの検索順位を上げるといったスパムが横行したため、現在はそのようなサイトはスパム判定され検索順位が上がらないように対策されています。
では、現在はどのようなサイトが上位になるのでしょうか?それを知るにはGoogleの方針を知ることが大切です。以下はGoogleの考え方を端的に示しているものです。
1. ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる。
2. 1 つのことをとことん極めてうまくやるのが一番。
3. 遅いより速いほうがいい。
4. ウェブ上の民主主義は機能する。
5. 情報を探したくなるのはパソコンの前にいるときだけではない。
6. 悪事を働かなくてもお金は稼げる。
7. 世の中にはまだまだ情報があふれている。
8. 情報のニーズはすべての国境を越える。
9. スーツがなくても真剣に仕事はできる。
10. 「すばらしい」では足りない。
引用元: Google が掲げる 10 の事実
また、検索エンジンの仕組みは以下Googleの公式サイトを参考にしてください。
簡単に説明すると、以下のような流れです。
- ユーザーの検索する前から、Googleが世界中のウェブページから情報を収集するために作っているウェブクローラは膨大な数のウェブページから情報を収集しています。
- ウェブクローラで収集された情報は、検索インデックスに登録されます。検索インデックスはGoogleがサイトを整理するための仕組みです。
- 膨大なページから、もっともユーザーの役に立ちそうな情報をユーザーの見つけやすい形で検索結果に表示させます。
1の補足
クローラは、人間がサイトを見るときと同じように、サイト内のリンクをたどるなどして、新しいページを発見します。つまり、どこからもリンクされておらず、かつサイトマップの送信をGoogleにしておらず存在が伝わらないサイトは、Googleのクローラに発見されずに検索結果に表示されません。
2の補足
Googleは発見したうち、インデックスさせるべきと判断したすべてのページをサーバに格納しています。
Google 検索のインデックスには何千億ものウェブページが登録されており、その容量は優に 1 億 GB を超えます。Google のインデックスには、本の巻末にある索引と同じように、各ウェブページに含まれているすべての語が 1 つずつ追加されています。つまり、インデックスにウェブページが登録されると、そのページに含まれるすべての語がインデックスに追加されるということです。
引用元:Google 検索の仕組み | クロールとインデックス登録
3の補足
表示順位を決めるためのルールをアルゴリズムといいます。検索結果に表示されるのはユーザーにとって役に立つ情報です。Webサイトとは限りません。
ルールを公開すると、仕組みをハックして悪い方法で自分のサイトを上位に表示させようとする人が増えてしまうため、どういうサイトを上位にしているかのルール(アルゴリズム)は開示されていません。
Googleには、提携先サイトのディスプレイ広告やYouTube広告など様々な収益源がありますが、主な収益は検索結果に表示されている広告から発生しています。検索結果の上に広告が表示されていて、そこがクリックされるほどGoogleの売上になる仕組みです。
Googleは検索する人が増えれば増えるほど売上や利益が増える仕組みになっています。検索する人を増やすには、高い利便性を維持する必要があります。
ユーザーがGoogleの検索結果に満足して、Googleの検索エンジンを利用することで検索数が増え、広告のクリックが増えてGoogleの収入増加に繋がります。また検索数が増えるとより精度の高いデータを得られるので検索結果の精度やユーザー体験の向上に繋がります。これによってユーザーの満足度がさらに向上するという正のループになっています。
SEOの目的
コンテンツの価値を正しく評価してもらうことが主なSEOの目的です。
100の価値があるコンテンツがあったとして、その評価を150や200にするのがSEOではなく、何もしていなければ50程度になってしまうものを、100になるべく近い評価をしてもらうためのものといったほうがイメージに近いです。つまり、設定が間違っていることで本来集客できたはずのユーザーに見てもらえない、もったいない状態をなくすのがSEOの役割です。
たとえば、ページごとにユニークなタイトルを付けることはSEOの基本ですが、それができていないサイトの場合、本来得られたはずのアクセスを捨てているような状態になってしまいます。
基本的なSEOの方法だけを抑えて、あとはユーザーのためにどのようなコンテンツを作るのが本当に良いかに集中するのが大切です。
まずは検索エンジンのためだけにコンテンツを作るのではなく、ユーザーに本当に届けるべき情報をつくります。その価値を正しく評価してもらうためにSEOの基礎に忠実に沿った変更をします。これは、長期的に安定してアクセスを集め続けるサイトを作るためには欠かせない考え方です。
SEOのメリット
- 広告ではないので、流入数に比例してお金はかからない。まとまった作業時間をつくれるなら無料でもできる(人件費はかかるので、厳密には無料ではないですが外注費や広告費がかからないという意味です)
- 上位表示されると、中長期的に継続した流入を見込める
- 資産として流入を増やせるコンテンツが積み上がっていく
- 長い時間軸で考えられるなら、費用対効果が高くなることが多い
- 興味関心を持ってキーワードを入力している人、つまり成約しやすい人を集客できる
- 認知度を上げられる、ブランディングできる
- 流入ごとにお金がかからないため、成約までの距離が遠い人に認知してもらうのに使いやすい
SEOのデメリット
- 成果がでるまでの期間がわからない
- 確実に期待どおりの成果が出るわけではない
- まとまった工数もしくはお金を確保して、継続的に取り組まないと効果が出にくい
- 流入キーワードの種類によってはビジネスと関係ないユーザーも集まる
- 検索エンジンのアルゴリズム変動のリスクがある
- 検索されている回数以上に集客することはできない。検索する人の数を増やすことはできない
SEOは万能ではありません。SEOでできることにには限界があります。検索エンジンにサイトに含まれている情報を適切に伝えて「もったいない」をなくし、ニーズを持ったユーザーを一定数集めることはできますが、本来のコンテンツの力以上の順位をつけたり検索される回数を増やしたりすることはできません。
どうすればSEOに適したWebサイトになるのか
ユーザーに有益な情報を提供して、ユーザーを満足させるページが上位に来る傾向があります。
Googleは、ユーザーが満足できる結果をなるべく多くのキーワードで返すために日々改善しています。もしユーザーが検索したときに自分が探している情報がまったくなければ、ユーザーは不便に感じて検索エンジンを使うのをやめてしまいます。つまり、ユーザーが簡単に目的の情報を見つけられるようにすることが、検索エンジンが目指していることです。
Googleはユーザーの満足度をどのように計測しているのでしょうか。より多くの人を満足させる結果を返すために、コンテンツの内容をAIで分析するのももちろんですが、以下のように様々な要因が考慮されていると推測されます。
- インターネット上での評判。社名やブランド名がどのようにほかのWebサイトやソーシャルメディアなどで言及されているか。ポジティブな言葉と一緒に出てくることが多いのか、悪評が立っている会社なのか
- 指名検索(社名やブランド名での検索)の回数。多いほど知名度が高い組織が運営しているサイトだと推測できる
- より多くのWebサイトからリンク(参照)されているか。リンクが多いほど、多くのWebサイトに有益とみなされている可能性が高い
- 検索結果でのクリック率で、ユーザーの興味関心をどれだけ引いているタイトルや説明文なのかがわかる
- Webサイトが表示されるまでの速度。遅いとユーザーのストレスになる
- 検索結果からサイトにアクセスしてから、戻ってくるまでの時間。すぐ戻ってくる人が多いと、つまり読まれていないページが上位になっていると推測できる
※注意:上記の例はあくまでもGoogleが取れる情報と、その想定される使いみちを推測したものであり、Googleが公式に発表している内容ではありません。
あるサイトにアクセスして短時間で検索結果に戻ってきたユーザーが多ければ、そのサイトはユーザーが求めている情報を提供していないと判断できます。あるキーワードで表示された検索結果をユーザーがクリックしなければ、適切なサイトを検索結果で表示できていないと判断できます。コンテンツ自体の評価に加えこのようなユーザーの行動に基づく情報も加味しながら検索順位を決定します。
現状の検索エンジンの仕組みを元にしてサイトやコンテンツを改善するのではなく、ユーザーにとって本質的に役に立つ情報を考え、それに基づいて行動していくことが、SEOを長期的に成功させるための鍵です。状況によっては、検索エンジンの仕組みが正しいかどうかを疑ってかかることも必要かもしれません。
たとえば、文章が長ければ長いほど上位に表示されやすい現状があったとして、それにあわせて常に長い文章にするのが本当にユーザーのためになっているのかはよく考える必要があります。いまは上位表示されやすくても、それがユーザーの利便性向上につながっていなければ、いつか評価の仕組みが変わったときに大きな悪影響を受けてしまうかもしれません。
検索エンジン以外でも検索されている
SEOはSearch Engine Optimizationの略で、検索エンジンに特化した言葉のように取られがちですが、最近ではYouTube、Twitter、Instagram、App Store、Google Play、Google マップ、Amazonなど、Google、Yahoo! Japan、Bingなどの従来の検索エンジン以外での検索数が増えてきています。
そちらでどう検索で見つけてもらうかをあわせて意識しておきましょう。それぞれのサイトでどう情報を検索結果に並べているかのルールは異なるので、調べて適用させていくことが大切です。
具体的な方法を学びたい方は、以下をまずは読んでください。