Webメディアを適切に運営するために、「キャッシュ」の役割と、それを無効にする操作方法を知っておくことは重要です。キャッシュの仕組みと種類、メリット・デメリットだけでなく、削除する方法についても詳しく解説します。
キャッシュとは何か
キャッシュとは、「データを一時的に保存しておく仕組み」のことです。インターネットを閲覧するためのアプリである「Webブラウザ」だけでなく、さまざまなアプリで実装されている機能です。
ブラウザのキャッシュの場合、Webサイトを訪問した際に受信したデータを、ブラウザ上(端末内)に保存します。ブラウザ上だけでなく、インターネット上(Webサーバー内)に保存されるキャッシュもあります。
キャッシュと同じようにブラウザ上にデータを一時的に保存する仕組みとして「Cookie」も知られていますが、Cookieとキャッシュは異なる機能です。Cookieでは、「Webサイトを読み込むためのデータ」ではなく、パスワードやID、閲覧履歴など「ユーザーが入力したデータ」が保存されます。
Cookieについて詳しくは、以下の記事を参照してください。
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キャッシュの役割・メリット
キャッシュとは、何のためにある機能なのでしょうか。その2つのメリットを解説します。
Webサイトを読み込む時間を短縮できる
キャッシュの基本的なメリットは、Webサイトを読み込む時間を短縮できることです。Webサイトを読み込むためには、インターネット上の「Webサーバー」から、Webサイトの画像やHTMLなどのデータを取得する必要があり、読み込み時間がかかります。同じWebサイトを繰り返し閲覧する場合、毎回Webサーバーから同じデータを取得することになり、非効率です。キャッシュの仕組みを使うことで、この点を効率化できます。
一度読み込んだWebサイトのデータを一時的に保存しておくことで、2回目以降はそのデータを再利用すれば重複するデータを取得せずに済み、読み込み時間が短縮されるのです。
データ通信量を節約できる
データを端末内に保存しておくことで、データ通信量を節約できるという点も、キャッシュのメリットです。動画や音楽など、通信容量の大きいデータを利用する場合、多くのデータを通信することになります。
モバイル通信契約では、1か月あたりや1日あたりのデータ通信量に上限が設定されている場合があり、できるだけデータ通信量を抑えながら使用する必要があるでしょう。キャッシュはそのために役立ちます。2回目以降の通信で、キャッシュとして保存されたデータを利用してコンテンツを表示・再生する場合は、1回目のように「全てのデータ」を読み込む必要がなく、「一部のデータ」を通信するだけで済み、通信量が節約できるのです。
キャッシュのデメリット
キャッシュにはいくつかのデメリットがあります。主な2つの点について確認しておきましょう。
デバイスの容量を圧迫する
キャッシュの種類によっては、スマホやPC内部にデータとして保存されるため、増えすぎるとストレージ容量を圧迫することがあります。端末のストレージ容量が圧迫されると、端末の動作が遅くなることがあり、写真を保存できなくなったり、新しいアプリをインストールできなくなったりなどの不具合の原因にもなります。
Webサイトを数回閲覧した程度でキャッシュの容量が大きくなることはほとんどありませんが、長く使用してキャッシュが蓄積されると、端末のストレージを圧迫するため、注意が必要です。定期的にキャッシュを削除することで、このデメリットを解消できます。詳しくは、このページ内の「ブラウザのキャッシュを削除する方法」の項目を参照してください。
Webサイトの修正や更新が反映されないことがある
キャッシュは「前回アクセスした際に保存したデータ」なので、情報が古い場合があります。Webサイトの内容が更新されて、デザインや情報が新しくなっていても、キャッシュを利用しているためにブラウザ上では古い状態のまま表示されることがあるのです。ユーザーにとっては、最新情報を見られないことになり、Webサイト運営者としても、修正内容が正しく反映しているか確認できないというデメリットになります。
このデメリットは「スーパーリロード」という操作することで回避可能です。その点は次の項目から解説します。
キャッシュの種類
キャッシュを3つに分類して紹介します。それぞれの特徴と役割、注意点を確認していきましょう。
ブラウザキャッシュ
ブラウザキャッシュとは、ユーザーの使用するスマホやPCなどの端末にインストールされている「ブラウザ」に保存されるキャッシュのことです。Webサイトにアクセスすると、ブラウザがWebサーバーのデータを読み込みます。その際、Webサイトの画像やHTMLなどのデータがキャッシュとして保存されます。これが「ブラウザキャッシュ」です。同じWebサイトにアクセスする際は、ブラウザキャッシュを利用することで、データを通信する時間が短縮され、データ通信量の節約にもなります。
ただしブラウザキャッシュはスマホやPCなどの端末上に保存されるため「端末のストレージを使用する」という点に注意が必要です。詳しくは、このページ内の「デバイスの容量を圧迫する」の項目を参照してください。
サーバーキャッシュ
サーバーキャッシュは、ブラウザではなく「Webサーバー」つまりインターネット上に保存されるキャッシュのことです。1回目にアクセスされると、ブラウザに送信するデータを「キャッシュページ」として、Webサーバー上の読み込み速度が速い領域などに一時保存します。これがサーバーキャッシュです。
2回目以降にアクセスされた際は、その「キャッシュページ」を表示することで、送信するデータを作成する処理時間が省けるという仕組みです。端末内に保存されるわけではないので、端末のストレージを使用するというデメリットはありませんが、サーバーの領域を使用することになります。サーバーキャッシュとブラウザキャッシュは役割が異なるので、併用されることも多くあります。
ストリーミングのキャッシュ
音楽や動画などの「ストリーミング再生」ができるアプリの中にも、キャッシュ機能を持つものが多くあります。ストリーミング再生とは、音楽や動画などのデータを端末内にダウンロード保存しなくても、インターネット上で再生できるようにする仕組みです。
例えば、Spotifyなどの音楽ストリーミングアプリでは、再生した曲のデータを一時的に保存しておくことで、曲が途切れないように再生できるようになっています。これも端末内のストレージ容量を使用するため、キャッシュが増えすぎないように注意しながら使用することが重要です。
キャッシュの影響を受けずにWebサイトを表示する方法
Webサイト運営では、キャッシュの影響を受けずに表示テストをしたい場面があります。その際は「スーパーリロード」と呼ばれる操作が便利です。
スーパーリロードとは「フルリロード」または「強制再読み込み」とも呼ばれ、キャッシュを利用せずにWebサーバーから新たにデータを読み込む操作です。
ブラウザとOSによって操作方法が異なりますが、「Chrome」の場合、スーパーリロードしたいWebサイトを表示した状態で、以下のキーを入力します。
- 【Windows】「Ctrl」+「Shift」+「R」
- 【macOS】「command」+「Shift」+「R」
この操作によって、キャッシュの影響を受けずにWebサイトを表示することが可能になり、更新作業での表示確認がしやすくなります。ショートカットキーによる簡単な操作なので、覚えておきましょう。
ブラウザのキャッシュを削除する方法
ブラウザのキャッシュを削除する方法について解説します。ブラウザによって操作方法は異なりますが、PC版の「Chrome」と、iPhone・iPadの「safari」の場合について、詳しい手順を見ていきましょう。
PCの「Chrome」ブラウザの場合
PCで「Chrome」ブラウザを使用している場合、右上にある3点アイコンのボタンをクリックしてください。表示されるメニューの中から「その他のツール」を選択し、「閲覧履歴データの削除」を選択します。
閲覧履歴データの削除メニューが表示されるので、「全期間」を選択し、「Cookie と他のサイトデータ」と「キャッシュされた画像とファイル」にチェックを入れましょう。次に右下の「データを消去」ボタンをクリックして完了です。
参考:Googleアカウントヘルプ「キャッシュと Cookie の消去」
iPhoneの「Safari」ブラウザの場合
iPhone・iPadの標準ブラウザである「safari」を使っている場合、まず「設定」アプリをタップしてください。表示される一覧から「safari」を探してタップします。次に表示されるメニューから「履歴と Web サイトデータを消去」をタップして完了です。
このとき、閲覧履歴や Cookie も一緒に削除されます。定期的に削除操作をすることで、端末のストレージを節約でき、快適な動作を維持するために役立ちます。
参考:iPhone、iPad、iPod touch で Safari から閲覧履歴と Cookie を消去する
まとめ
キャッシュは、ブラウザだけでなく、さまざまなアプリで利用されている技術です。読み込み時間を短縮し、通信量を少なくするために役立っています。ただしWebサイト運営においては、更新された内容を確認する作業を妨げることがあり、ときどき削除したり無効にしたりする必要が生じます。仕組みと操作方法を理解して、キャッシュを効果的に使っていきましょう。
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