サイトのリニューアルや、長く続けてきたサイトがわかりにくくなってしまった、という理由からサイト構造(ディレクトリ構造)を作り直したい、というご依頼がよくあります。実際、ユーザーに支持されるサイトになるにはサイト構造をしっかりと作る必要があります。また、しっかりと構造を考えたサイトはSEOにも影響を及ぼします。ここではサイト構造をどのように設計するべきかを紹介します。
- わかりやすいサイト構造とは
- わかりやすいサイト構造はGoogleがSEOに関するドキュメントでも推奨
- ユーザーのニーズとアクションに合わせたサイト構造の作り方
- 1.ユーザーのニーズを知るためにキーワードを集める
- 1. サイトのメインとなるキーワードと一緒に検索されるワード=サジェストを調べる。
- 2. Googleのキーワードプランナー(https://ads.google.com/intl/ja_jp/home/tools/keyword-planner/)を使ってキーワードを調べる。
- 3. 検索結果と一緒に表示される再検索ワード
- 2.集めたキーワードをグルーピングする
- 3.ニーズを取捨選択し、優先順位をつける
- 4.ユーザーの行動に合わせた内部リンクを作成する
- サイト構造に関するQA
わかりやすいサイト構造とは
多くの人に軽視されがちなサイト構造。売り出したいサービスや、伝えたい内容を次々に追加した結果、サイトの中でユーザーが迷子になるような、迷宮的サイトができてしまったということもままあります。必要なのは図にあるような、わかりやすいサイト構造です。
図の例ではユーザーが目的の商品を探し出したり、目的の情報を取得しやすいように、しっかりとニーズごとに情報がまとめられています。
ユーザーのニーズに即したカテゴリーページを作ったり、コンテンツをしっかりと分類してサイト構築をすると検索エンジンはサイトの内容を理解しやすくなります。わかりやすく情報をカテゴライズすることで、サイトの管理がしやすくなるというメリットもあります。また、ユーザーが使いやすいサイトを作ることは離脱率の低下や、コンバージョン率の改善につながります。
わかりやすいサイト構造はGoogleがSEOに関するドキュメントでも推奨
情報量が増えることがSEOにとって有利に働く、という側面もあり、多くのサイトでコンテンツを作ることが優先され、サイト構造が軽視されてしまいました。しかしサイト構造はGoogleでもSEOのための重要な要素としてあげられています。
SEOの基礎を学ぶために見過ごせないGoogleが公開しているドキュメント「検索エンジン最適化(SEO)スターターガイド」でもサイト構造の重要性が語られています。
わかりやすい階層を作成する
一般的なコンテンツからそのサイトで求めている具体的なコンテンツへ、ユーザーができるだけ簡単にたどり着けるようにしてください。適宜ナビゲーション ページを追加し、内部的なリンク構造に効果的に組み込みます。サイト上のすべてのページにリンクから到達できるようにし、サイト内の検索機能を探さなくても済むようにします。関連ページへのリンクを適宜追加すると、ユーザーが同様のコンテンツを見つけやすくなります。
避けるべき方法:
ナビゲーション リンクを複雑な関係にする(例: サイト上のすべてのページを他のすべてのページにリンクする)。
コンテンツを過度に細分化する(そのため、ホームページから到達するのに 20 回もクリックする必要がある)。シンプルなディレクトリ構造を作成する
引用:検索エンジン最適化(SEO)スターターガイド
コンテンツが適切に整理され、訪問者がサイト上のどこにいるのか判断しやすいディレクトリ構造を使用します。ディレクトリ構造を利用して、その URL で見つかるコンテンツの種類を表すようにします。
避けるべき方法:
…/dir1/dir2/dir3/dir4/dir5/dir6/page.html のようにサブカテゴリを深くネストする。
含まれているコンテンツと関連のないディレクトリ名を使用する。
ユーザーのニーズとアクションに合わせたサイト構造の作り方
実際にサイト構造を考えていく際に気を付けるべき点は「ユーザーの為のサイト構成」を意識するということです。
それには
〇ユーザーのニーズに合わせた情報のカテゴライズ
〇ユーザーが必要な情報に簡単にたどり着けるリンク構造
の二つの視点が重要です。
1.ユーザーのニーズを知るためにキーワードを集める
では実際どのようにサイト構造を考えていけばいいのかを、「バッグ」を専門に販売するサイトを例に考えてみます。まずやるべきことは、サイトを訪れるユーザーにはどのようなニーズがあるのかを調べ、ユーザーの欲しい情報に合わせたカテゴリーを用意することです。こうしたユーザーのニーズを知るのに重要なのが、ユーザーの利用する検索ワードを調べることです。検索ワードを調べるには以下のような方法があります。
1. サイトのメインとなるキーワードと一緒に検索されるワード=サジェストを調べる。
サジェストは検索時に提示される、検索エンジンが推測したキーワードです。上記は「バッグ」を検索際に提示されるサジェストです。これは、「バッグ」に続けて一緒に入力されることの多い検索ワードです。これらを調査することで、ユーザーのニーズを知ることができます。
2. Googleのキーワードプランナー(https://ads.google.com/intl/ja_jp/home/tools/keyword-planner/)を使ってキーワードを調べる。
上記はGoogleのキーワードプランナーを使って探した関連性の高いワードです。キーワードプランナーは上記のように、1つのキーワードを軸に、関係性が深いとされるキーワードを提示してくれます。
3. 検索結果と一緒に表示される再検索ワード
これは検索結果がユーザーにとって有意義ではなかった際に再建策に使われているワードです。
2.集めたキーワードをグルーピングする
これらのキーワードをグルーピングすることで、自社のユーザーにどのようなニーズがあるかがわかります。
キーワードを同じ種類のキーワードで分けていきます。
例えば「バッグ ブランド」や「ノースフェイス リュック」「セリーヌ バッグ」などはどれもブランドに関係したキーワードです。「バッグ ショルダー」「トートバッグ」「リュック」などはバッグの種類に関連するワードです。
このようにキーワードをグルーピングしていくことで、ユーザーの「自分の好きなブランドからバッグを探したい」「自分の必要な形状からバッグを選びたい」というニーズを知ることができます。
3.ニーズを取捨選択し、優先順位をつける
グルーピングをしてニーズをまとめていくと、必要なカテゴリーがわかった気になります。しかしすべてのグループを同じように扱う必要はありません。検索ボリュームの大きさから、必要性の有無を考えましょう。
例えば上記のような「革」や「ナイロン」は素材を表すグループです。中には商品を選ぶ際に素材で選びたいというユーザーもいると思います。ただ、前述の種類やブランドに比べると検索ボリュームは圧倒的に少なく、無理にカテゴリーを作る必要はないということがわかります。
※ニーズを考えて分類した例。
また、優先順位決めではサイトを訪れるユーザーのペルソナからディレクトリーの必要性を考えることも重要です。例えば、指輪を専門的に扱う会社が男女向けのリングでカテゴリーを作る場合、10~20代をターゲットにしたサイトであれば「ペアリング」を、20代後半からの世代を狙った高価な宝飾店であれば「結婚指輪」や「婚約指輪」といったカテゴリーを作ることが重要になります。
もう一つ事例を紹介しておきます。
例:不動産会社のカテゴリー分類ーエリアと沿線の両方の流れが考えられる。
4.ユーザーの行動に合わせた内部リンクを作成する
カテゴリーを設定して、うまく全体の流れを構築できたあとは、ユーザーの行動に注目してサイト内のリンクを作っていきます。
1. パンくずリスト
例えば、ユーザーは必ずしもトップページからサイトを訪れるわけではありません。こうしたユーザーへの対応の一つがパンくずリストと呼ばれるリンクです。このリンクがあると、ユーザーはどのページを見ているのかすぐわかるようになります。
2. 横断的なリンクを集めるキーワードページ
「おすすめ」「ランキング」「プレゼント」「記念日」などのように、通常のカテゴリーに収まらなくとも、キーワードとしてよく使われ、ユーザーに有益となるページもあります。こうしたページは複数のページを横断的にまたがってリンクを集めるページとなります。
こうしたページは通常の商品ページからサイトを訪問したユーザーが流入しやすく、またこうした特集のページから商品のページへの移動がスムーズに行われるように設計する必要があります。
一部のサイトでは、特集ページへのリンクがトップページにしか設置されておらず、せっかく類似品からサイトを訪れたユーザーが特集ページの存在に気づかない、といったサイトの構築をしていることもあります。リンクのつながりは、ユーザーがどのような動機でサイトを訪れ、どのようにページを変遷し、最終的にコンバージョンに至るかを考え、その流れが極力スムーズに行われるように作ることが重要です。
以上のように、ユーザーが求めるカテゴリーや情報がすぐ探し出せるサイト構造と、ユーザーが必要な情報に従って横断的に情報を取得できるリンク構造を考えながらサイト構造を決めることが重要です。サイト構造は複雑になるほど修正が難しく、インデックスされた後に修正するとURLが変わってしまうというリスクがあります。できる限り早めにしっかりとしたサイト構造を作るように心がけましょう。
サイト構造に関するQA
Q:検索ワードとしては出てくるものはできるだけカテゴリーにしたほうがいいのでしょうか。
A:必ずしもカテゴリーにする必要はありません。例えばアパレル関係であればサイズ、色、アクセサリーであれば、検索の際の絞り込み条件などに入れられるとユーザーの利便性が高まります。また、例えばアクセサリーの中でもダイヤモンドだけ宝石の種類として検索が多い、といった場合には、ダイヤモンドの商品にタグ付けをして、ダイヤモンドの商品だけを一覧にするようにしましょう。
Q:横断的なリンクではなく、コンテンツをコピーして別々のカテゴリーに入れてもいいのでしょうか。
A:ページをコピーして増やすのは避けましょう。全く同じ内容のコンテンツがサイト内に複数ある場合、Googleから低評価を受ける原因となります。
Q:カテゴリーページがよく検索に引っかかります。検索ワードに合わせてできるだけたくさんカテゴリーを作りたいと思っています。リュックサックとバッグパックなど、キーワードに合わせてカテゴリーを増やしても問題ないでしょうか。
A:ユーザーにとって有益な情報のないページは低品質なページと評価されます。同一の内容で検索対策のためにカテゴリーを分けても、それぞれのページに十分な情報を用意できなければ意味がありません。また、ユーザーにとっては同一の商品にもかかわらず、2つのルートができることになり、混乱やストレスの原因となります。キーワードの為だけのカテゴリーの量産は避けましょう。
Q:コンテンツの数がすごく少ないので一つのカテゴリーにまとめてしまいたいのですが問題ないでしょうか
A:カテゴリーに紐づけるべきコンテンツが極端に少ない場合は、近しいニーズのコンテンツでまとめてもかまいません。もしくは3階層目以降に関してはコンテンツがまとまるまでカテゴリーを非表示にするのもよい方法です。前述の質問への回答と同じく、情報量の少ないカテゴリーページは評価が低くなります。登録されているコンテンツの数(商品の数など)が少ない場合も同様に低評価の対象となります。
Q:どうしてもカテゴリーの分け方が決められません。
A:商品販売であればAmazonや楽天などの大規模で人気のサイトを参考にするのも一つの方法です。競合他社のカテゴリーの分け方を参考にすると、分け方のイメージがつきやすくなります。ただし、競合が正しくユーザーのニーズに従って分類できているとは限らないため、注意も必要です。