この記事では、オウンドメディアの担当者が抱えがちな問題や、陥りがちな失敗例、それらを解決するための課題などを紹介しています。オウンドメディアを成功させるために参考にしてください。
目的や目標が曖昧になっており、方向性が定まらない
オウンドメディアで何を達成するのかという目的と、目的の達成度合いを計測するための指標による目標の両方が必要です。
なぜ、誰に、どんな情報を、どう届けるのかをコンセプトに落とすことも大切です。コンセプトとセットで、ペルソナやカスタマージャーニーマップを作成して、チームで意識を統一します。
これらが定まっていないと、方向性がぶれて、何が良くて何が悪いのかがわからなくなり、チームメンバーが混乱します。
たとえば、具体名は出しませんが、ビジネスマン向けのスキルアップ、経済や政治などの時事ネタについて書いていたメディアが突然芸能人のスキャンダルの話題ばかりになっているような例を見かけます。これはPV(ページビュー数)/UU(ユニークユーザー数)が目的・目標になっているために発生していると考えられます。PV/UUを増やすことだけを考えるのであれば、一度アクセスを集めることができた芸能ニュースについて何記事も書くことは合理的です。
こうやって今まで書いていた方向性とまったく違う記事を立て続けに書くことでPV/UU増加を狙うことが、設定している目的に合致していて、社内で方向性について合意があるならよいです。ただ、もし経済誌の定期購読やBtoB事業の問い合わせなど、何らかのコンバージョンが用意されていて、その数を増やすことが目的なのであれば間違った方向性かもしれません。芸能人のスキャンダルをネタにしていくらPVやUUを増やしても、コンバージョン数にはあまり貢献しないでしょう。
究極的な目的を達成するための中間の指標としての複数の目標数値があります。優先順位を明確にしましょう。明確になっていないと、以下のようなページでどちらがより良いページで、どちらと似たコンテンツの作り方を続けていくべきなのかが判断できません。
- SNSでバズって100,000人に閲覧されたけれども、1人もコンバージョンしなかったページ
- 毎月100人しか閲覧がないけれども検索エンジンから継続的に流入があり、100人のうち1人がコンバージョンするページ
とにかく認知度を上げることが目的でPV/UUが最優先すべき指標になっているなら前者が、売上につながるコンバージョンが最優先の指標になっているなら後者が良いページになります。
良い結果を出したページを見極めて、似た方法でコンテンツを足していくのが結果を出すためのコツです。
KPIを設定するのは大切ですが、KPIを多く設定すると長続きしないため、最初のうちは特に重要な指標に絞って設定することをおすすめします。
まずはページ別訪問数もしくはユニークユーザー(UU)数、ページビュー(PV)数、公開した記事数、コンバージョン数、コンバージョンレートなどがおすすめです。
方向性を明確にするための課題
- 目的と目標を明確に設定して全員が理解する
- メディアコンセプトを作る(なぜ、誰に、何を、どうやって伝え、その結果としてどう態度変容してもらうか)
- コンセプトの理解を補強するためのペルソナやカスタマージャーニーをつくる
兼務していてやることが多すぎて更新の手が回らなくなる
オウンドメディアの立ち上げのときは特にそうなのですが、専任で担当者をつけられることは珍しいです。多くの担当者の方が、今までやってきた他の仕事と兼務しています。
ほかの仕事と同時に進める形になり、あまりにも忙しくなってオウンドメディアの更新ペースが非常に遅くなってしまうことはよくある課題です。ほかの仕事が社外とやり取りする納期がある仕事だったりすると、そちらの納期を最優先することになって、オウンドメディアは後回しになってしまいます。
この問題を解決するもっとも良い方法は、担当者をオウンドメディア専任にすることです。オウンドメディア運用は、ほかとの掛け持ちでスムーズに立ち上がるほど、簡単な仕事ではありません。
専任者を見つけることができない場合は、社内・社外の両方で手伝ってくれる人を探してみてはいかがでしょうか。
必要な作業をリストにしてみて、役割分担をし、担当する人を探していきましょう。分担方法はオウンドメディアによってさまざまですが、参考までに以下に役割の例を書いておきます。
- 事業責任者(編集長と兼務のことが多い)
- 編集長
- 編集者
- SEO担当者
- SNS担当者
- 記事企画と構成案の作成担当者
- ライター
- 校正者
- 監修者
- デザイナー
- 開発者
関連記事:編集者/ライター/監修者などオウンドメディア運用の役割分担
体制を作るときの方法の例です。
- 社内で担当してくれる人を探す
- 新しく採用する(正社員、アルバイトなど問わず)
- オウンドメディアの運用代行をしている企業に発注する
- フリーランスに依頼する
安定して更新し続けるための課題
- 兼務から専任に変更するためにどう業務を整理するか
- 必要な役割を考えてリストにする
- 規模に応じて継続的に採用する方法を見つける
- 同じ人が安定して働き続けてもらえるようにする
コンテンツ制作の外注で品質が安定しない
ページを継続的に増やすために外注先を使うと、期待していた品質よりも低いものが納品されてくる問題が発生することがあります。
これの原因としては、以下があります。
- 適切な外注先を見つけられていない
- 適切な依頼の仕方ができていない
1. 適切な外注先を見つけられていない
まず、適切な外注先を見つける方法ですが、信頼できる知り合いから紹介してもらう、過去に一緒に仕事をしたことがある人にお願いするなどがもっとも良いです。そうしたツテが何もないなら、クラウドソーシングやSNSを活用しましょう。
クラウドソーシングとは、オンライン上で働きたい人と、仕事を依頼したい人をマッチングするプラットフォームです。代表的なものとして、ランサーズ、クラウドワークスなどがあります。
SNSはFacebookのグループで募集をかける、Twitterで告知するなどが考えられます。最近では、bosyuのような、SNSと連動して求人をすることができるような仕組みもあります。
クラウドソーシングやSNSで外注先を探すときのポイントは、最初から良い人と仕事できるとは限らないと割り切ることです。はっきり言って、いきなり依頼し続けたいと思える人に発注できることのほうが少ないでしょう。どんなに経歴や過去のポートフォリオ、プラットフォーム上でのほかの人からの評価などを見ても、仕事の品質を事前に見極めることは難しいです。なので、実際に小さい仕事をお願いしてみて、仕事の進め方や品質などを確認させてもらい、相性が良かった人への発注量を増やしていくことをおすすめします。
2. 適切な依頼の仕方ができていない
コンテンツ制作では、同じライターに書いてもらうとしても、外注の方法で大きく原稿は変わってきます。たとえばいまあなたが読んでいるこの記事のテーマで外注するとして、以下のどちらが事前に想定した内容に近いものがあがってくるでしょうか。
- 原稿のメインテーマは「オウンドメディアの課題」です。このテーマで自由に3,000文字以上の記事を書いてください。
- 原稿のタイトルは「オウンドメディアの問題や失敗例と、改善するための課題リスト」です。想定している読者は「これからオウンドメディアを立ち上げるにあたって情報収集している人、もしくは立ち上げたばかりで数字が伸び悩みどうすればいいか悩んでいる人」です。見出しには、「1.目的や目標が明確になっていない、2.忙しくて手が回らなくなる、3.品質が安定しない」の3つは最低でも入れてください。読み終わったあとに今までのオウンドメディア運用のやり方から何かしら変えようと思ってもらうことが記事の目的です。
下の依頼の仕方のほうが納品されてくる原稿の方向性が限定されています。
原稿の品質を高めるためには、編集企画をする担当者を決めて、内容について最初のうちは細かく関与したほうがよいです。ライターが慣れてきて、構成案(プロット)の作り方などお互いの認識が近づいてくれば、上のような依頼の仕方でもまわるようになるかもしれません。
参考記事: オウンドメディア運用代行会社の選び方と上手な付き合い方
外注を使ってもコンテンツの品質を安定させるための課題
- 良いコンテンツの定義を言語化して、記事例などを用いて資料にする
- 外注先の候補を見つけるための方法を確保する
- コンテンツ制作を依頼する方法をルール化する
- 記事校正・校閲などのチェック体制をつくる
PV/UUが伸びていかない
待っているだけではPV/UUは伸びていきません。SEOだけを集客方法にして、ただコンテンツを継続的に投稿するだけで数字が伸びていくと考えるのは避けましょう。ものすごく時間がかかってしまいます。
メール、SNSなど、良いコンテンツを読者に届けるための方法を考えてください。どんなに良いコンテンツを作っても、誰にも見てもらえなければ広がっていきません。
SEOでは早く結果が出るキーワードから狙っていきます。以下の記事もあわせて参照してください。
オウンドメディアSEOマニュアル 集客を成功させる15の方法
流入を増やすための課題
- 集客経路を分散させる
- SEOやSNS運用などオウンドメディアに集客するためのノウハウを蓄積する
- 数字を伸ばすノウハウを持っている人の支援をあおぐ
PV/UUは伸びているが、コンバージョンが増えない
順調に閲覧する人数は増えているのに、コンバージョンが増えていかないときには以下のような原因が考えられます。
- 提示しているコンバージョンがユーザーにとって魅力がない
- コンバージョンまでの導線がわかりにくい
- フォームが使いにくい、項目が多すぎる
- 自社の事業内容にあまり関心のない人たちばかりを集客してしまっている
- 公開しているコンテンツがユーザーの信頼を得るものになっていない、役に立たないものと思われている
コンバージョンを増やすための課題
- オファーの内容は適切か
- コンバージョンに誘導するためのボタンやリンクをわかりやすく目立つ位置に配置する。数を増やす。
- フォームの必須項目はわかりやすくする、リアルタイムでバリデーションチェックする、項目を必要最低限まで削る、入力完了のボタンを「送信」のようなシンプルなものではなく「無料で○○する」のような表現の工夫をしたものに変える
- 経路やコンテンツテーマの見直し
- コンテンツの信頼性を高めるための精査、最新情報へのアップデートなど、制作済みのものの改善活動をする体制をつくる