ダークソーシャルとは何か、ダークソーシャルを増やす方法を説明します。
ダークソーシャルとは
ダークソーシャル(dark social)とは、ユーザー間のシェアのうち、アクセス解析ツールで参照元情報を判別できないものを指します。ダークトラフィック(dark traffic)とも呼びます。たとえば、メール、LINE、Facebookメッセンジャー、Slack、チャットワーク、グループウェアや社内向け情報共有ツールなど、誰でも閲覧できる状態ではないプライベートな方法で共有されることがダークソーシャルに該当します。アクセス解析のGoogleアナリティクスではダークソーシャル経由の流入はDirectに分類されます。
TwitterやInstagramなどは鍵付きのアカウントでない限りは基本的に誰でも見られる状態ですが、こちらを普通のソーシャルとしたときに、見えにくいやり取りということでダークソーシャルという呼び方になっています。
The AtlanticというメディアでAlexis Madrigal(アレクシス マドリガル)さんが2012年に書いた記事が大元です。
Dark Social: We Have the Whole History of the Web Wrong – The Atlantic
この記事によると、2012年時点の調査で、ソーシャル経由のアクセスのうち、69%がダークソーシャルで、20%がFacebookでした。
Get Socialという解析ツール提供企業が2019年1月から6月までの大手クライアント100社のデータ、1.59億の共有投稿を元にした調査では、77.5%がダークソーシャルでした。2位のFacebookの7.5%と大きく差を広げています。
これは海外のデータですが、日本でも同様にダークソーシャルの比率が高いと推測されます。LINEやメールを使っている人のほうが、Twitter、Instagram、Facebookなどを使っている人よりも多いからです。特にLINEは月間アクティブユーザー数が2020年3月時点で8400万人(参照:LINE広告|LINE for Business)いるので、すべてのURL共有方法のなかでもっとも使われていると考えられます。Twitterのアクティブユーザー数は4500万人(2019年11月時点 参照:日本のTwitter広告は「動画が50%以上」。2019年は「リアルタイム検索と会話する場」に成長 | Web担当者Forum)なので、大きく差があります。
また、TwitterやInstagramのDM(ダイレクトメッセージ)も多くの人が使っています。ホットリンクさんの調査によると、DMを毎日使っている人、ほぼ毎日使っている人の合計は、Twitterでは20.1%、Instagramでは28.2%だったようです。
[詳細版]ホットリンク総研が解説する、ダークソーシャルに関する調査結果|SNSコラム|ホットリンク
ダークソーシャルをどう増やすか
ダークソーシャルはアクセス解析では内訳が判別できないやっかいな存在ではありますが、減らそうとするのではなく積極的に増やすべきものです。なぜなら、ダークソーシャルは自社のことを広めてもらえる貴重な機会だからです。また、知り合いからオススメしてもらった商品やサービスであれば、ほかと比較することなく買いやすいです。検索して自分で調べるよりも、身近な信頼できる人から推薦してもらったほうが早いし確実です。
さらに、家族、友人、同僚など身近な存在への直接の情報共有は今後も存在し続けるもので、どんなにオープンなソーシャルメディアが流行しようとも、ダークソーシャルはなくなることはありません。
BtoC、BtoBのいずれでもダークソーシャルや口コミの影響はあり、上手に付き合っていくことが必要です。
BtoBでも、同僚からメールやチャット経由でURLを送ってもらうときのようにデータがDirectに分類されるものだけでなく、食事や会議のときに同僚から良いサービス・会社と共有してもらい、あとでサービス名で指名検索するようなケースも含めると表に出ていないシェアの影響は大きいです。
増やすための方法をまとめて紹介します。
タイトルとURLをコピーするボタンを用意する
コンテンツのなかにタイトルとURLをコピーするボタンを設置するのはオススメの方法です。どんなサイトでも共通して使えます。
Get Socialの調査によると、SNSのシェアボタンを使って共有されるのは16.03%しかなく、多くがコピー&ペーストで共有されています。
以下のページで設置方法や詳細な結果について説明してくれていますのであわせて参照してください。
BtoB拡散の新しいカタチ。「タイトル&URL一括コピー」ボタンを実験してみた。|MarTechLab(マーテックラボ)
「LINEで送るボタン」の設置
コミュニケーションツールとして圧倒的なシェアを誇るLINEでの共有を促すためのボタンを設置するのも良い方法です。
以下のページで設置方法が解説されています。
シェアしてもらえるように書く
「参考になると思ったら友人や同僚にシェアしてください。」のようなお願いするテキストを記事の最後に入れます。
実用的な良いコンテンツを作る
すぐに使える便利なコンテンツを提供すれば、共有してもらえる率が上がります。以下コンテンツの例です。
- ホワイトペーパー
- 事例集
- テンプレート
- チェックリスト
- 参考見積もり
- シミュレーター
コンテンツを異なるフォーマットで提供する
人によって共有しやすいコンテンツのフォーマットは異なります。相手にあわせて同じ内容を異なるフォーマットで提供しましょう。
- スライド
- 動画
- 音声
- 画像
多ければ多いほどいいというわけではないです。自社の顧客にあったフォーマットを考えてください。
SNSを運用する
どんなに良いコンテンツを顧客に適したフォーマットで作成しても、誰にも閲覧されなければダークソーシャルは発生しません。見てもらうための手段が何かしら必要です。自社のSNSを運営して育てていけば、コンテンツを多くの人に届けられるようになります。
BtoB企業で増えているのが、企業の公式アカウントだけではなく、社員が自由にアカウントを運用する方法です。複数名で情報発信することでより多くの人に自社コンテンツを見てもらえます。
まとめ
SNSで表に見えているバズはすぐに発見できますが、LINE、メッセンジャー、InstagramやTwitterのDM、Slack、チャットワークなどで拡散されているのは気が付かない可能性もあります。アクセスが急激に伸びたのにアクセス解析のデータを見ても原因がわからないというときには、ダークソーシャルが影響しているかもしれない前提で調査すると何か気づきがあるかもしれません。
ダークソーシャルはどの企業も避けて通れないものですので、上手に付き合う方法を考えましょう。プライベートDMP(Data Management Platform データマネージメントプラットフォーム)・CDP(Customer Data Platform カスタマーデータプラットフォーム)やマーケティングオートメーション(MA)などによって閲覧者を個人単位で特定する方法もあります。