オウンドメディア運用を社内でやりきれないので、代行業者に依頼したいという方向けに、外注先を選定する前に知っておくとよい役割分担をご紹介します。これが正解というわけではありませんが、サイトエンジンではこう進めているという一例としてご覧ください。
どの役割ができる人が足りていないのかを把握して、適切なチーム構成を決めます。
すべてを社内の人員で担当する必要はありません。制作会社、編集プロダクション、フリーランスなど外部パートナーに役割を任せられないかを検討するのもよいでしょう。
プロデューサー
事業責任者として、オウンドメディアのコンセプトやコンテンツの方向性を考えて決めます。ほかにもKGI、KPIの設定、記事数や外注費用などの策定、企画、マーケティングなど業務内容は多岐に渡ります。メディアを育てるためにできることを広くとらえて働ける人が向いています。
また、事業の初期にはユーザーの行動を肌感でつかむために読者と接点をもったり、広告主候補に営業したりもします。さらに記事広告などを受注したときに、クライアントの要望をヒアリングして要件に落としてディレクターに伝える業務をプロデューサーが行います。
ディレクター
ディレクターはチームメンバーへの指示出しをして、プロジェクトの進行管理をして、予定通りに更新する役割です。記事の品質を担保する役割もにないます。
編集者の役割に近いですが、もう少し広い範囲の業務を担当しているので、ディレクターとサイトエンジンでは呼んでいます。
主な仕事は、チーム全体から出るコンテンツの企画を取りまとめや取捨選択、優先順位付けをすることと、ライター、校正者、監修者、デザイナーなどチームメンバーへの指示出しです。 誰が、いつまでに、どの記事を書くのかを管理する役割も担います。
メディアのレギュレーションを作成して、資料にすることで、チーム全員が共通の認識をもって進めるようにします。レギュレーションに含める内容は以下のようなものです。
- メディアの目的と目標
- 読み手にしてもらいたいこと
- ペルソナ、カスタマージャーニーマップ
- トーン&マナー、NGワードや表現、表記統一ルール
- 業務フロー
- 文字数や見出し数などの参考例
- コンテンツ分類(コラム、取材、商品紹介などメディア独自の分類)
- それぞれのコンテンツ分類で良い記事のサンプル
表に出すものの最終判断するという意味で、もっとも大切な役割です。
SEO担当者
ディレクターが作成したコンテンツの企画案を、SEOに適した形で構成に落とす役割です。
構成案には以下を含みます。
- タイトル
- 読み手のペルソナ
- 読み終わったあとにしてもらいたいこと
- 見出し
- 見出し下の本文で伝えたいことや含める情報
- 見出し単位での参考資料URL(役所の統計データのPDFなど、もしあれば)
- それぞれのパートの想定文字数
SEOへの理解があるかないかで、論理構成や見出しの表現方法は変わってきます。特にストーリーの流れと、情報の入れ子構造がどうなっているかは大切です。
キーワードや競合サイトの調査結果から情報の抜け漏れを探したり、ユーザーの検索意図を判断して情報の見せ方の優先順位付けを決めたりします。検索意図に沿っていない形で情報を並べても、上位には表示されないためです。
SEOだけでタイトルを決めるのではなく、ソーシャルメディアでどうすれば拡散されるのかもあわせて意識します。
どんなテーマや内容の記事だったとしても、SEO担当者がついたほうがよりわかりやすい構造のコンテンツになります。必須ではありませんが、あるとコンテンツがよりよくなる役割です。
ライター
プロデューサーやディレクターの意図を反映させつつ、良いコンテンツに仕上げるライターはオウンドメディアの運用に欠かせません。
良いライターの条件です。
- テーマへの専門知識が豊富なこと
- 読み手を意識して、わかりやすく読みやすい文章を書けること
- 体験や調査したことなど、独自の情報を盛り込めること
このうち、専門知識が豊富なことが最も重要かというと、ほとんどのメディアではそうではないです。かなり専門性が高いニッチなジャンルを扱うメディアを除いては、自分で独自に調査した結果をわかりやすくまとめることができるほうが大切です。
専門的な知識を持っていることが読者にとって読みやすくわかりやすいコンテンツを書けることと直結しません。特に昨今では副業がさかんで、ライターといえども他の業務の片手間で仕事をしている方も多くいます。たとえば、ある資格を有していてその業務範囲の専門知識があったとしても、読み手を意識して文章を書いた経験がまだあまりない人であれば、文章の品質は低いかもしれません。
校正者
ライターが書いた原稿の校正と校閲をします。校正者が担当したほうが、ライターが自らチェックして修正するよりも、抜け漏れが少なくなります。
誤字脱字や文法誤りはもちろん、不自然な点やわかりにくい点も修正します。また、書かれている情報の事実確認をします。
オウンドメディアの実務では、ライターを多数起用することがあり、特に最初期ではまだライターの見極めができていない、記事の品質が安定しない段階が存在します。ライターの書いた内容にフィードバックをする役割も校正者が担当します。また、ディレクターにライターの状況を報告します。
監修者
書かれたコンテンツを専門家の視点で修正、追記などをする役割です。弁護士や公認会計士や医師など、専門知識を保有しているとわかる有資格者であることが多いです。そうした公的な資格がないテーマもありますから、そうした場合にはそのジャンルで本を書いている人とか、有名な媒体で記事を書いている方などに連絡をして監修の依頼をすることもあります。
コンテンツの最下部に監修者として名前、顔写真、プロフィールなどを掲載することもあります。
監修者への依頼の方法は以下のような流れです。
- Amazonで関連したテーマの本を探す
- 著者名をリストにする
- リストにした著者名で検索して、公式サイト、ブログ、Twitterなどのアカウントを探す
- 連絡して監修のお願いをする
費用感が人によってすごく大きく変わるのが特徴です。品質を向上させる意図のほかに、有名な人を起用して権威付けしたいという目的で監修者をつけるメディアもあります。
参照: 監修とは?意味や使い方、専門家による監修の重要性を知っていますか
デザイナー・イラストレーター
記事内に差し込む図表やイラストなどを作成する役割です。コンテンツの見た目は直帰率、滞在時間、読了率といった要素に大きく影響するので大切です。
ファーストビュー(ページひらいた直後の画面)でどうコンテンツが見えているかで、読むか読まないかが判断されます。
デザイナーとしての仕事を専門にしている方でなくても、アイキャッチ画像は設定します。アイキャッチ画像はコンテンツの最上部に大きく表示させておく画像です。
TwitterやFacebookなどでシェアされたときに表示させるOGP画像としても使えるように、サイズはOGPに準拠したものにします。「OGP 画像サイズ」などで調べると詳細に解説した記事がいくつもでますのであわせて参考にしてください。
まとめ
オウンドメディアは、役割分担をはっきりさせて業務フローを作ると継続しやすくなります。運用を途切れさせずに継続して続けることが成功に欠かせません。どんなに良い担当者がいたとしても、その人が抜けてしまうことでメディアの継続ができなくなるようでは、事業として運営するのは難しいです。ただ、最初からすべての役割を別々の人に分担するのは予算的にも人員的にも難しいことが多いかと思います。その場合には、いくつかの役割を兼務する形で始めて、規模が大きくなったときに少しずつ担当者を増やしていく流れで大丈夫です。
注意点としては、ほかの仕事との兼務をしている人だけでチームを構成すると、継続できなくなって終わります。かならず専任の担当者を1名は決めて運用することをおすすめします。
この記事ではサイトエンジンがよく採用している役割分担の方法を書きましたが、オウンドメディアの種類や目的によって最適な構成は変わります。あなたの会社のオウンドメディアの目的に合致した組織の形を考えてみてください。