コンテンツマーケティングは内製するべきか、それとも外注を使ったほうがよいのか、そんな質問を受けることがよくあります。私の所属するサイトエンジン株式会社ではコンテンツ制作の代行をサービスとして提供しているため、外注を受ける立場ではありますが、必ずしも外注を使うことが正しいとは限りません。この記事では、内製と外注の良いところと悪いところをなるべく客観的な視点でご説明します。あなたの会社のコンテンツマーケティングをどう進めるかの参考にしてください。
内製しか対応できないコンテンツこそ集客に貢献する
コンテンツマーケティングをはじめるとき前に、どんなコンテンツを作ればよいかを知っておきましょう。
それは自社のお客様が求めている情報です。伝えたい内容や、作りやすい内容を先に考えるのではなく、まずはニーズの多い情報を届けます。
ニーズはお客様から集めることができます。営業やカスタマーサクセスなど、お客様に近い立場の人がどのような質問や要望を受けているかを整理します。CRMやSFAなどにデータが蓄積されていれば、それを見るだけでコンテンツのネタを集めることもできます。
時間が十分にとれるようなら、お客様に依頼して導入事例コンテンツのための取材をします。
- お客様の家庭(toC)や会社(toB)での普段の様子
- 導入の検討を始める前の課題
- 何がきっかけであなたの会社、商品を知ったのか
- 購入前に感じた疑問や不安
- 類似商品と比較して、なぜ自社の商品を選んでくれたのか
- 商品をどう活用しているか
- それによってどんな効果を感じているか
などを取材で聞かせてもらうことは価値が大きいです。
もしあなたの会社が設立したばかりで、まだ1人もお客様がいないとすれば、同じニーズを持っているであろう人のインターネット上のレビューやクチコミなどを見てみましょう。
以下のようなものを参考にして、ニーズを集めます。
- Twitterであなたの商品と似たものを使っている人の投稿
- Yahoo!知恵袋や教えてgooなどを確認して関連した質問とその回答
- お客様が検索しそうなキーワードで上位に入っているページ
- Amazonや楽天、アプリストアなどでのレビュー
このようにしてニーズを収集してから、お客様が知りたがっていることを伝えるためのコンテンツを作ります。それによって集客もできて、さらに成約率も高いコンテンツになります。
きちんとお客様に読んでもらい、行動を変化させてもらえるようなコンテンツを作るためには、お客様や商品に対する深い知識が欠かせません。社内の人が書くのに向いていて、外注するのは難しいです。強み、独自性を活かせるコンテンツを作るには、社内の知見を持つ人が書くか、書かないにしても企画や監修などで深く関与する必要があります。
コンテンツとして取り上げる情報の収集や選択の仕方が、もっとも成否に影響します。同じネタをどのように伝えるかは小さな違いしか生みません。
ノウハウの蓄積や改善も内製したほうが進みやすい
内製にするもう1つのメリットは、ノウハウの蓄積や改善が進みやすいことです。社員が作業したほうがやり取りのスピードが上がり、結果として改善サイクルが早く回ります。特にコンテンツマーケティングに営業やカスタマーサクセスや製品開発などのマーケティング部署以外の人たちに関与するときに、社外の人よりも社内の人で進めたほうが早いです。
また、社内でチームを作って運営したほうが、成功したときに再現性があります。外注先に任せて成功しても、その方法を共有してもらえて、完全に同じ方法で繰り返し制作できるかはわかりません。
まずは内製からスタートするべき
上記のような理由から、コンテンツマーケティングはいきなり外注するのではなく、ある程度自社で試してから、外注できそうな部分はあるのか、本当に外注するべきかを考えてください。ニーズを集めて企画を立てたり、実際に書いてみてお客様に読んでもらえる質の高いコンテンツを書いてみたりを繰り返して、上手くいくコンテンツ制作の流れを見つけましょう。
企画の立て方、構成の作り方、書き方などがわかってから、自社と同じやり方でできる外注先がないかを探しましょう。自社が独自で保有する情報を外注先と共有することがよりよいコンテンツを作るためのポイントです。
外注を使うケースはあるのか?
では、コンテンツマーケティングで一切外注を使わないほうがよいかというと、一部の状況では使ったほうがよいこともあるでしょう。
以下で外注先を使う状況をまとめています。
トップのコミットメントが弱くて専門のチームを組成できない
内製化するには、コンテンツマーケティングだけを専門として取り組む人が最低でも1人は必要です。やることが非常に多いため、片手間で進めると失敗します。
しかしながら、いきなり1人をコンテンツマーケティングだけに割り当てるのはトップのコミットメントが取れていない限り難しく、多くの場合は既存の他業務との兼務になってしまいます。
そのようなときに、外注パートナーの力を借りれば、1人では難しい制作と改善のサイクルをまわして、本当に投資する価値があるかを検証し、トップを説得する材料を集められます。
検証して予算を獲得して、人員を採用するまでのつなぎとして、外部に協力してもらうということです。
ノウハウがあまりにもないので基礎を学ぶために外注する
内製化するべき理由のところで、伝えるべき情報の収集や選択が大切であって、伝え方はそれほど重要ではないと書きました。それでも最低限のノウハウは知っておいたほうがよいです。
たとえば、SEOを考慮した記事タイトルの付け方、見出しの使い方などは正しい方法を知っていることで、早く結果を出しやすくなります。SNSでクリックされやすい記事タイトルも同じです。
基礎であれば本やWebサイトなどで学習することもできますが、知識として知っているかどうかと、それを業務に落とし込めているかに大きな差があります。知っているつもりで間違ったノウハウで行動してしまっていると、改善が遅くなります。
このように、もし社内に経験者が不在でノウハウがなくすぐ基礎を学びたいときには、詳しい会社やフリーランスに外注して方法を教えてもらうことで、成功までのスピードを上げられます。
内製していたものを外注して、また内製に戻すことで、社内のノウハウが強化されるかを上手く見極めてパートナーを選びましょう。
事業成果がページビューを増やすことに直結しているためペースを上げたい
広告でマネタイズしているメディアなど、ページビューやユニークユーザー数を増やすことが事業成果に直結するサイトの場合、社員が書いても、外部の人が書いてもあまり質が変わらないということがありえます。
社員以外でも書けるテーマで膨大な量の記事を継続的にアップしていくときに、内製も外注も併用します。
商品点数の非常に多いECサイトなどで、社員だけでは対応しきれない場合なども外注で売上を増やしやすいでしょう。
成功体験をマニュアル化できていて、部分的に手伝ってもらいたい
すでにコンテンツマーケティングで成功していて、コンテンツを増やすとコンバージョンや売上が増えることもわかっている会社も、完全に内製するのではなく外注を使うことがあります。なぜかというと、方法がマニュアル化されていて、外部に依頼してもそのマニュアルを守れば品質を維持できるからです。
また、社内で作るニーズが顕在化している層向けの社員にしか作れないコンテンツと、外部に依頼してもよい一般論をまとめるコンテンツの分類ができています。
上手く外部に手伝ってもらえれば、コンテンツ公開のペースを上げることができます。
内製に必要なことをおさえておきましょう
コンテンツマーケティングは基本内製にして、必要に応じて部分的に外注したほうがよいことを説明しました。
成功させるには以下の条件が必要です。
- トップの理解とコミットメント
- マーケティングやWebの部署以外の理解と協力
- 最低でも1名のコンテンツマーケティング専任の担当者
トップの理解とコミットメント
コンテンツマーケティングは成果が出るまでに時間とお金がかかります。内製化するなら関与する社員の人件費はしばらく持ち出しになります。企業の知名度、経験者の有無、自社サイトのドメインパワーなどのいくつかの要因によって成果が出るまでの期間は変わってきますが、最低でも1年は赤字の状態が続いても継続するというコミットメントを得てから開始しましょう。
そのためにコンテンツマーケティングがどのようなものかをトップがしっかりと理解しておく必要があります。
マーケティングやWebの部署以外の理解と協力
マーケティングやWebを担当している部署以外の人たちがコンテンツ制作に関与しなければ、お客様のニーズにあったコンテンツを作り続けることはできません。お客様と触れる機会のない人だけでコンテンツを作っているだけでは、どこか他社のサイトで見たことのあるようなコンテンツだらけになってしまうでしょう。
最低でも1名のコンテンツマーケティング専任の担当者
忙しくて片手間でできる仕事ではありません。最低でも1名は専任の担当者を決めて取り組まないと、コンテンツ公開のペースや品質を維持できません。
上記を満たしてからコンテンツマーケティングに取り組んでみてください。
まとめ
最終的には基本内製で済ませられるのが理想です。外注し続けたほうがよいコンテンツがもしあればその部分だけ依頼します。外注し続けたほうが良い部分は会社によっては存在しないこともあります。
この記事があなたのコンテンツマーケティングの内製化と外注活用の役にたてばうれしいです。
外注先パートナーと上手に付き合うための方法は以下の記事で解説していますので、あわせて参照してください。
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