コンテンツマーケティングのコンサル業務をするなかで、最初に確認しておくべきことを整理しました。支援会社のコンサルタントの方やこれからコンテンツマーケティングをはじめる事業会社の方の参考になればうれしいです。
製品が解決している課題・顧客像
製品で解決される顧客の課題・悩み、顧客像を知ります。この理解がないと適切なコンテンツは作れません。出来上がっているペルソナやカスタマージャーニーマップを見るだけでは不十分で、生データを読み込んだり、現場に行って確認したりするところまでします。
過去の問い合わせ内容や打ち合わせの議事録などは宝の山です。
製品の強み
なぜ他の会社の製品ではなく、自社製品が選ばれるのか、この理由が明確になっていないままコンテンツマーケティングをやっても上手くいきません。
コンバージョンされないWebサイトのままコンテンツを制作して集客しても、成功しにくいです。なぜならどんなに集客しても売上につながらないからです。コンバージョン率を改善するためのクリエイティブやUI(ユーザーインターフェース)のテクニックはたくさんありますが、製品の改善が最も影響が大きいです。強く求められる製品を作ることがもっとも重要です。
マーケティング以外も含めたビジネスの全体像
ビジネスの全体像を把握して、どこにコンテンツにすべき情報がありそうかを考えます。本当に価値のある情報はWeb以外のところで見つかります。
また、コンテンツは集客してコンバージョンを増やす以外にもさまざまな用途があります。全体像を把握して、どのプロセスでコンテンツが効果を発揮しそうかを確認します。
ほかに実施しているマーケティング施策
コンテンツマーケティングは数ある方法の1つでしかなく、状況によっては他の方法を採用すべきです。実施中のマーケティング活動とそれぞれの効果などを確認して、コンテンツマーケティングは採用されるべきなのか、ほかの手法とどのように組み合わせるのかを考えます。
悩み・課題
マーケティングを実施するうえでの現状の悩みや課題を聞きます。
目的・目標
これがないと方向性が定まりません。何を、いつまでに、どれだけ増やすのかを明確にします。
KGIやKPIを設定しておきます。
運用体制や予算
コンテンツマーケティングは成果が見えてくるまでに時間がかかる傾向があるため、途中で諦める、人手が足りなくなって止まる、別部署や経営陣などから横槍が入って中止になるといったことがよく発生します。また予算が小さすぎると成果が実感できるようになる前に使い切ってしまいます。
やりきれるだけの覚悟や社内コンセンサスはあるのか、十分な予算は確保できているのかを確認して、難しそうならコンテンツマーケティングよりも小さくPDCAをまわせる施策を提案します。
内製と外注の範囲
Webサイトの改善をするときに、エンジニア、デザイナー、編集者、ライターなど様々な役職が関与することになるわけですが、内製と外注の範囲を確認します。
開発を伴うときには運用保守をしている別会社に発注しないといけない、HTML/CSSのちょっとした変更も外部に任せている、すべて内製化しているので比較的早く変更できる、など会社によって大きく違っています。
社内での役割分担
大きな会社のコンサルティングをする場合、相談をいただいている部署とは異なる部署で似たようなコンテンツ制作を実施していることがあります。社内の役割分担がどのようになっていて、変更できる範囲はどこまでなのか、他部署と重複してしまう場合の処理の方法などを確認します。サブディレクトリやサブドメインによって管理している部署が異なると、同じドメイン内のほかのページとSEOで戦うことになりかねません。
重複を避けるために、できれば他の部署が制作する予定のコンテンツ一覧などを確認したいところですが、それが難しければバッティングしなさそうな範囲を聞きます。
コンテンツ公開までの業務フロー
制作したあとに、チェックする流れを確認します。コンプライアンス担当、広報担当など、マーケティングの担当者以外のチェックが公開前に必要な場合、それぞれの確認にかかる時間はどれくらいか、削れるプロセスはないかを考えます。
スピードが遅くなる原因をなくせるかで成功しやすさは変わります。コンサルでノウハウの提供はもちろんしますが、ノウハウ自体よりも早く進めてPDCAを回せるようにするための体制構築や業務フローの改善のほうが成果に与える影響は大きいと考えています。「これをやれば上手くいく」とわかっていても、進まなければ絵に描いた餅です。
現状で上手くいっているコンテンツ
現時点で成果に貢献しているコンテンツの一覧を見ます。それらのページへの流入経路もあわせてチェックします
成果に貢献しているコンテンツを知ることは、追加で注力するべき情報の方向性を決めるのに役に立ちます。
オファーの種類
製品の強みとあわせて、なぜコンバージョンするべきなのかが明確になっている必要があります。
強いオファーを出すことが重要です。オファーとは、コンバージョンしてもらうためにユーザーへ提案する内容のことを指します。たとえば、「無料トライアル」「営業への問い合わせ」「資料請求」の3つのオファーを比べると「無料トライアル」が強いオファーになります。
どのオファーが適切なのかは取り扱っている製品だけではなく、コンバージョンしたあとの業務フローによっても変わります。
たとえば営業担当が連絡してクロージングを目指すタイプのビジネスの場合、営業担当の時間が十分に確保できるなら興味関心の度合いが薄いユーザーもコンバージョンしてもらうことで売上が増えます。一方で、営業担当が現状の仕事で忙しすぎてコンバージョンしたユーザーを追いかけきれていないようであればすぐに買いたいユーザー以外をコンバージョンさせるべきではありません。